緊急メッセージ「今問われる企業の持続可能な社会に向けての取り組みの重要性」

日頃から一般社団法人中部SDGs推進センターの活動にご理解、ご協力を賜り感謝申し上げます。
今回の新型コロナウイルスのパンデミックにあたり企業のあるべき姿にについて緊急メッセージを出させていただきます。

最初に日夜、献身的に対応されている医療関係者の皆様に心からの敬意と感謝を表したいと思います。
本当に自らの危険を顧みず国民の命を守るために取り組まれている姿を拝見し頭が下がる思いでございます。
又、緊急事態宣言が出される中で、事業の存続をかけて奮闘されている経営者の皆様に応援の気持ちしか表すことしか出来ませんが、この危機を乗り切られることを祈ります。

今の状況の中で企業が取り組むべき3つの視点

先ず、緊急に取り組まなければならない事

1点目は本業及び関連することで社会に対して、特に地域社会に何ができるかを考え実行することです。医療関係の備品や薬品及びサービスを行っている企業は正に医療崩壊を防ぐために全力で取り組まれるでしょうし、社会インフラの企業は当然その役割を果たされると思います。その他の企業も海外に現地法人や取引先をお持ちの会社はマスクを提供できるかもしれません。こんなことと思わずに行動に移すことです。

2点目は従業員への取り組みです。従業員の安全を確保することはもちろんですが、今、絶対にしなければならないことは雇用を守ることだと思います。従業員が安心して暮らせることが企業にとって必須の課題です。

3点目はサプライチェーンを維持することです。特に最終製品を製造、販売している企業は原材料の調達まで遡れば、多くの取引先の協力によって事業は成り立っています。特に今回は資金的に苦しい取引先が危機を迎えるかもしれませんが、どのように支援しサプライチェーンを維持できるようにするかが重要です。

いつかコロナウイルスの危機も人類の英知で正常化に向かうと思います。
その時、貴方の会社は社会からどう見られているのか、評判はどうなっているか、ミレニアム世代更にZ世代の持つ企業への価値観は社会的価値が有るか無いかが判断基準になります。

コロナ危機の時にその会社はどの様に行動したのか必ず問われると思います。
人を大切にしない企業は従業員も見放すでしょうし、有能な人材がそのような企業を選ぶことはないと思われます。
サプライチェーンの安定性、品質性、革新性は企業の生命線であり、いざという時に信頼できない企業は多分、優良な取引先から見放されるでしょう。

ポストコロナ社会に向けて企業が留意すべき動き

ポストコロナ社会は政治と経済の2つの視点で考えなければならないと思います。

政治的には、国家主義や排他的な動きが勢力を強めポピュリズム的政治家が増えるかもしれませんが、私はこの分野の専門家ではありませんので、その国の国民の判断にゆだねたいと思います。経済的には上記の政治的な動きに影響を受けるかもしれませんが、最近の大きな流れの行き過ぎたグローバリズムと資本主義の修正への動きは変わることなく更に加速すると思います。

資本主義の見直しは、株主資本主義といわれたROE絶対であった米国で誤りに気付いたことです。短期的な株主利益を追い求め、目先の利益や、ROEを上げるための自社株買いなど愚かな長期的視点の欠けた企業は成長性が低い更には経営破綻を起こすことが理解された結果です。このことは今年のダボス会議でステークホルダー資本主義への転換として提言されましたが、私はマルチステークホルダーとの調和による「共感資本主義」の時代に入ったのだと思います。

もう一点のグローバリズムの見直しはESG投資の加速の動きです。
世界最大の運用会社であるブラックロックが舵を切ったように財務情報だけで企業を評価する時代は終わり非財務情報も含めて投資を判断する、具体的には企業の将来価値を財務から予測できる見通しから環境リスクや人権リスクを加味して減額する、逆に環境技術、社会課題へのソリューション力、人的資産を評価し加算して評価し投資先を選ぶ動きの主流化です。
この流れを意識してポストコロナ社会への対応を考えなければなりません。

ポストコロナ社会に向け企業は今何に取り組むべきなのか

先ず考えるべきは、我社は未来の社会でどのような意味で必要とされているかを考えることです。
未来の社会で必要とされている意味がない会社は消えていくしかないでしょう。
その時に未来と言ってもいつか?国際社会はSDGs(持続的開発目標)で2030年に世界のありたい姿を決め17の目標を定めました。我社が2030年にどのような意味で社会から選ばれているのか、言い換えれば「我社の存在意義は」を考えることを始めることです。
そして、2030年に「我社のありたい姿」を想像し明確に目標を定めることです。
先ず、「ありたい姿」を考えるときに企業はたいがい経営理念をお持ちですが特に歴史を重ねてきた企業は素晴らしい家訓、社訓、経営理念を基本に持続性を維持してきています。

先ず原点の理念を具現化するために、何をなすべきか、それがありたい姿であり、どのような意味で社会から支持されているか、社会課題は何かを考えるときに、SDGsは取り組む課題の指標の宝庫です。

この検討を進めていくときのキーワードは「我社のコアコンピタンスは何か」です。
そして、定めた「ありたい姿」の実現に向け「マテリアリティ(重要目標・課題)」を定め社内外にコミットすることです。
併せて実現のためのインフラである「価値創造型投資」に着手しなければなりません。
具体的には「情報化投資(デジタルトランスフォーメーション)」「研究開発投資(オープンイノベーションを含む)」「人材投資」+財務体質の強化が必須であり従来の「減価償却型投資」からの意識改革が急務であると思います。

ではいつからか!今回のコロナウイルス対策は長期戦になります。
今のコロナウイルス対策と同時並行に「今から」取り組みいち早く2030年の我社のありたい姿としての「SDGs宣言」を発信した企業が「ポストコロナ社会」に対応した「未来から選ばれる」持続可能な企業になる可能性が圧倒的に高いと思われます。
民主主義や資本主義はけっして完全なものではありませんが、これに代わるものは考えられません、人類は常に修正しながら賢明な選択をしていくものと確信しております。

是非、皆さんと協力してこの未曽有の危機を乗り切り「持続可能な社会」を創り上げていきましょう。
当法人 中部SDGs推進センター も微力ながら貢献してまいりたいと思います。
末尾に皆様のご健勝を心より祈念申し上げます。

2020年5月3日
一般社団法人中部SDGs推進センター
代表理事 戸成司朗